Gemini
祇園祭、山鉾巡行
祇園祭・前祭のハイライト、7月17日の山鉾巡行は、朝から降りしきる雨と共に始まりました。
都大路を進む壮麗な山鉾は、大切な懸装品を守るため、白いビニールシートで覆われた姿。その光景に少しばかり残念な気持ちになった方もいるかもしれません。しかし、そもそも祇園祭は、都に蔓延した疫病を鎮めるための御霊会（ごりょうえ）が起源です。降りしきるこの雨は、まるで京の街を隅々まで洗い清める「浄めの雨」のようにも感じられました。
悪天候にもかかわらず、厳かに、そして力強く進んでいく山鉾。その姿は、いかなる状況でも祈りを絶やさず、文化を未来へ継承していくという、人々の強い意志の現れのようでした。
そして、この日の空は、まるで采配が決まっていたかのように、夕方には雨を止ませました。
夜、神幸祭（しんこうさい）が始まる頃には、雨上がりの澄んだ空気が街を包みます。「わっしょい、わっしょい」という勇ましい掛け声と共に、八坂神社の三基の御神輿が氏子町内を練り歩く様は、まさに圧巻の一言。山鉾巡行が「静」の祈りであるならば、この神幸祭は、神々のエネルギーがほとばしる「動」の神事です。
巡行の雨が嘘のように晴れ渡った空の下、熱気に満ちた神幸祭を目の当たりにすると、「この日だけ大雨が降ったことには、何か意味があったのではないか」と思わずにはいられませんでした。
浄化の雨と、神様が渡るための晴れ間。自然さえも味方につけてしまうこの祭りの奥深さに、私たちは今年もまた、心を強く揺さぶられた一日となりました。
